
人気のヘリテージデザインとは?アンティークとの違いとインテリアのコツ
家具やインテリアにこだわる人々の間で、注目を集めているヘリテージデザイン。
アンティークやヴィンテージとの違いは?どう取り入れれば失敗しない?
など、この記事では、ヘリテージデザインの特徴、アンティークとの違いを整理しつつ、賃貸住宅でも実践できるコーディネートのコツを紹介します。
ヘリテージデザインとは?

ヘリテージデザインとは、時代を超えて価値を持ち続ける本物志向のデザインを意味します。
単に美しいだけでなく、長く使える耐久性と、背景にある物語や文化的な意味合いを重視するスタイルです。
特徴的なのは、素材の良さが主役であることです。
無垢材の温もり、真鍮のくすみ、天然ウールの手触りなど、使い込むほどに深まる味わいが魅力です。
このような素材は経年変化によって魅力を増し、所有する人の暮らしとともに育っていく存在になります。
また、ヘリテージデザインは普遍性が重要です。
一時の流行とは距離を置き、年月を経ても古びない、むしろ時間とともに価値が増すような設計思想が込められています。
だからこそ、モダン、ナチュラル、クラシックなど、どんなインテリアスタイルにもなじむ柔軟さを持ち合わせているのです。
古いものではなく、価値を受け継ぐもの。それがヘリテージデザインの核なのです。
アンティーク/ヴィンテージとの違い

インテリアの用語として「アンティーク」「ヴィンテージ」「ヘリテージデザイン」は混同されがちですが、それぞれに異なる意味と価値観があります。
⚫︎アンティーク
一般的に「100年以上前に製造されたもの」を指し、ヨーロッパでは法的にもこの定義が採用されています。
家具や時計、陶器などが多く、時代背景や文化的価値が評価の基準になります。
劣化ではなく、経年美を楽しむものです。
⚫︎ヴィンテージ
明確な定義は国やジャンルによって異なりますが、一般には「20年以上経過したアイテムのうち、状態が良く、時代性を帯びたもの」とされます。
家具だけでなく、ファッションや車、レコードなども含まれます。
デザイン性や当時の技術を楽しむノスタルジー価値が魅力です。
⚫︎ヘリテージデザイン
こちらは古さそのものではなく、伝統的なデザインや製法を現代に再解釈して活かしたものを指します。
新しく作られた家具でも、歴史的な意匠や素材感、思想を受け継いでいれば“ヘリテージ的”と呼ばれます。
つまり、古い=価値があるではなく、継承された思想こそが価値という立場です。
アンティークやヴィンテージは「時間の蓄積が前提」なのに対し、ヘリテージは「デザインの本質を今に活かすスタイル」と言えます。見た目だけでなく、何を重視して選ぶかという価値観の違いがポイントです。
アンティーク家具やヴィンテージアイテムと、現代のヘリテージデザイン家具を組み合わせて使うことは、センスと調和のバランス感覚が問われる上級テクニックです。
ポイントは、色味・素材・テクスチャーのトーン合わせです。
たとえば、同じウォルナット材のテーブルとチェアを組み合わせる場合でも、一方が光沢のあるウレタン塗装で、もう一方がオイル仕上げのマットな質感だと、微妙な違和感が生まれます。
統一感を出したい場合は、「ツヤ感」「色温度」「経年の度合い」を揃える意識が重要です。
また、アンティークやヴィンテージは重厚な存在感を放つアイテムが多く、部屋全体が暗く・重くなりがちです。
そこに対しては、ファブリック(クッション、カーテン)、アートフレーム、照明などで軽やかさや空気感を加えるとバランスが整います。
素材を繋ぐアイテムを間に入れるのもいいですね。
木と金属の間にウールやリネンのアイテムを挟むと、自然なグラデーションが生まれ、空間がまとまりやすくなります。
ヘリテージが“今”人気な理由

近年、「ヘリテージデザイン」への注目が高まっている背景には、暮らしの価値観の変化があります。特に以下の3つの視点から、このスタイルの魅力が再評価されています。
1.サステナブル志向の高まり
地球環境への意識の高まりから、大量生産・大量消費のライフスタイルを見直す動きが広がっています。
使い捨てではなく、良いものを手入れしながら長く使うという価値観が浸透する中で、耐久性と普遍性を持つヘリテージデザインはまさにその理想にマッチします。
天然素材や修理可能な構造を持つ家具は、単なる物ではなく、生きた道具として日常に溶け込みます。
2.セカンドハンド市場の拡大
中古家具やリユース品の市場が拡大し「新品でなくても良い」「むしろ味がある」という価値観が定着しつつあります。
特に欧州の老舗ブランドや、日本国内の職人家具などは、中古でも価値が落ちにくいため、投資対象としても注目されています。
新しいのに味がある・古くても機能的という両立が可能なヘリテージデザインが支持を集めているのです。
3.投資家具という考え方
コスト重視で選ぶ量販家具に比べて、ヘリテージ系家具は長く使う前提で設計されているのが特徴です。
10年後、20年後も使い続けられる素材・構造・デザインであるため、結果的にコストパフォーマンスが良いという考え方も広まっています。
リセールバリュー(再販価値)も高いものが多く、暮らしに馴染む資産として家具を捉える人も増加中です。
単なる消費ではなく、持続可能な投資として選ばれるスタイル、それがヘリテージデザインなのです。
失敗しないインテリアのポイント

配色:ダークウッドを主役に“重くしない”中和色
ウォルナットやチークといったダークウッドは、空間にクラシックで上質な雰囲気をもたらす素材です。深みのあるブラウン系の木目は、ヘリテージデザインに欠かせない要素であり、インテリアに落ち着きと品格を与えてくれます。
ただし、ダークウッドを多用しすぎると、空間全体が**“重たく”“暗く”見えてしまう**ことがあります。特に賃貸物件でよくある、白やベージュ系の壁・床とのバランスを誤ると、家具だけが浮いて見えることも。
そこで活躍するのが、「中和色」の存在です。たとえば、
グレージュ(グレー+ベージュ)
アイボリー
ウォームグレー
など、柔らかく明るさを保ちつつ、主張しすぎない中間色を取り入れることで、ダークウッドの存在感を引き立てながら、全体のバランスを調和させることができます。
クッションやラグ、カーテン、壁面アートなどにこれらのカラーを使えば、視覚的な抜け感が生まれ、重厚すぎない印象に。とくに光の入りにくい部屋では、明るさを足すという意味でも中和色の活用は効果的です。
「重厚だけど、重くない」──それが、ダークウッド×中和色の成功バランスです。
素材:ウォルナット×真鍮×ウールの鉄板トリオ
ヘリテージデザインの魅力を最大限に引き出すために、素材の組み合わせはとても大切なポイントです。
その中でも、ウォルナット・真鍮・ウールの三素材は、色・質感・存在感のバランスが絶妙な、いわば鉄板のトリオです!
ウォルナット(木)は、深みのあるこげ茶色と美しい木目が特徴で、空間に温かみと落ち着きをもたらす素材です。
テーブルや収納家具、床材として多用され、主役としての存在感を放ちます。
真鍮(メタル)は、時間とともにくすんでいく経年変化が楽しめる金属です。
新品時のゴールドの輝きも魅力ですが、年月を経て現れる柔らかなツヤが、ヘリテージ感を一層引き立てます。
照明や取っ手、棚受けなどのアクセントとして取り入れると、空間にクラシックな重みが加わります。
ウール(テキスタイル)は、天然素材ならではの肌触りと温もりが魅力です。
ラグやクッション、ブランケットなどで取り入れれば、硬質な木や金属の印象をナチュラルな柔らかさで中和してくれます。
特に冬場は視覚的にも物理的にもぬくもりを与えてくれる優秀素材です。
この3つの素材は、それぞれが個性を持ちながらも、決して主張しすぎません。
ウォルナットの深み、真鍮の品格、ウールの素朴さ、それぞれの質感が重なり合うことで、空間に深みと柔らかさを同時に生み出すことができるのです。
インテリアに迷ったら、まずこの組み合わせから始めてみるのも良いですね!
失敗が少なく、自然と味のある空間ができます。
家具:1点確かな名品(or名品風)から
ヘリテージデザインを暮らしに取り入れる際、最初から空間全体をガラッと変えようとするのはハードルが高く、予算的にも負担が大きくなりがちです。
そこでおすすめなのが、まず「1点」だけ、確かな存在感を持つ名品家具(またはそれに準じたデザイン)を取り入れることです。
たとえば、イームズチェア(Eames Shell Chair)Yチェア(CH24 / Hans J. Wegner)セブンチェア(Arne Jacobsen)バタフライチェア(BKF Chair)など、時代を超えて愛され続けている名作家具は、それだけで空間の印象を格上げしてくれる力を持っています。
もちろん、オリジナルは高価なものもありますが、ライセンス品やデザインを踏襲した「名品風」の家具でも十分にその魅力を体感できます。
大切なのは、安いからではなく「長く使えるから」「思い入れを持てるから」選ぶという姿勢です。
また、名作家具はサイズ感や素材が洗練されているため、狭い賃貸空間でも圧迫感が出にくいというメリットもあります。
デザイン的にもヘリテージスタイルとの相性がよく、ひとつ置くだけで「この部屋、ちゃんと考えてるな」と感じさせる空気感を持っています。
まずは椅子、照明、あるいはサイドテーブルなどから自分にとって誇れる1点を選ぶことが、ヘリテージインテリアの第一歩となります。
小物:ファブリックと額装で“物語”をレイヤー
ヘリテージデザインの空間づくりにおいて、ファブリック(布)と額装アートは、空間にレイヤー(層)を加え、暮らしに深みと奥行きを生み出します。
たとえば、
・民族柄や伝統模様のクッションカバー
・使い込まれたリネンや手織りのラグ
・ヴィンテージのポスターや植物図鑑のページを額装したもの
・旅先で見つけた手仕事の雑貨や布
これらの小物は、単なる装飾ではなく、その人の趣味や価値観、思い出を映し出すパーソナルな部分です。
大切なのは、完璧に揃えすぎず、抜け感を意識してレイヤーを重ねていくこと。
温かみのある布やアートを取り入れることで、木材や金属などの素材が持つ硬質さを柔らかく中和し、全体のバランスを取ることができます。
ヘリテージスタイルの完成度を高めるためにも、小物選びにこそセンスを込めてみてください。
原状回復アイデア:貼って剥がせる/置くだけ/照明で魅せる
賃貸物件でインテリアにこだわる際、避けて通れないのが原状回復の問題です。
ですが、近年では工具不要で取り入れられるアイテムや技法が豊富に登場しており、ヘリテージデザインの雰囲気も十分に楽しむことが可能です。
【貼って剥がせる素材を活用】
リメイクシートやウォールステッカーは、壁や家具に貼ってもきれいに剥がせるので安心です。
レンガ風や木目調など、ヘリテージ感を演出できる質感のあるものを選ぶのがコツ!
【置くだけで映えるアイテムを活用】
ヴィンテージ風のミラー、観葉植物、ウールラグ、アンティーク調のトレイなどは、床や棚に置くだけで雰囲気が変わる便利アイテムです。
移動も簡単なので季節ごとに模様替えも楽しめます。
【照明で素材感を魅せる】
スポットライトやクリップライト、間接照明などを使えば、ウォルナット材や真鍮のパーツに陰影が生まれ、素材の質感が際立ちます。
照明は“見せたい部分に焦点を当てる”ことで、空間演出に立体感が加わります。
賃貸だからと諦めず、自分なりの方法でヘリテージスタイルを楽しんでみてください。
やりがちなNGインテリア
ヘリテージデザインは知的なインテリアであるがゆえに、少しの方向ミスで「古臭い」「重すぎる」「まとまりがない」印象になってしまうことがあります。以下では、特に初心者がやりがちな失敗例と、それを避けるためのポイントを紹介します。
NG①「古い=おしゃれ」と思い込む
アンティークやヴィンテージ風の家具を無条件に選べば、おしゃれな空間になると思ってしまうことがあります。
ただ古いだけのアイテム(例えば、劣化した素材や痛んだ金具など)は、空間の印象を一気にチープに見せてしまいます。
経年美ではなく、単なる劣化になっている場合もあるので、違いを理解しましょう。
家具の購入前には、傷や汚れが味として成立するかを見極める必要があります。
古いアイテムは1〜2点をアクセントとして使うくらいに留め、他は整った印象を保つ家具でバランスを取りましょう。
NG②テーマや年代が混在しすぎて統一感がない
好きなものを集めれば個性が出ると思い、異なる国や年代のアイテムを混ぜすぎることがあります。
北欧×フレンチ×アメリカン×アジアン…と多文化を詰め込みすぎると、まとまりのない雑多な部屋になりがちです。
まずは「時代」か「地域」で統一感を持たせましょう。(例:北欧1950年代中心など)
ミックスする場合は、色調や素材感に共通点を持たせて視覚的な一体感を意識してください。
NG③フェイク感の強い安価な“なんちゃって”アイテム
見た目がそれっぽければ安価なものでOK、という選び方はNGです。
プリント木目やチープな金属風素材は、一見ヘリテージ風でも、近くで見ると質感の違和感が目立ちます。
本物にこだわらなくてもいいですが、触れたときの質感が心地よいものを選ぶこともポイントです。
とくに目に入りやすい部分(テーブルの天板、照明のシェードなど)は妥協しないこと。
NG④全体が重く、暗くなりすぎる
濃色の木や重厚な素材ばかりを使うと高級感が出ると思ってしまいますよね。
明度が低いアイテムを詰め込みすぎると、部屋が沈んだ印象になり、閉塞感も増してしまいます。
特に日当たりが弱い部屋では逆効果です。
そんな時は、クッションやラグなどに中和色(アイボリー、グレージュなど)を加えて明るさを出しましょう。
照明やミラーを使って光の反射や陰影を作ることで、重厚さに動きを加えることもおすすめです。
まとめ
ヘリテージデザインは、流行に左右されない本質的な価値を空間に与えてくれるスタイルです。
アンティークやヴィンテージとの違いを理解しながら、自分らしい形で取り入れることで、暮らしがより豊かに、そして長く愛せるものになります。
まずは1点、本物志向の家具や小物からはじめてみませんか。
失敗を恐れず、物語のある空間を育てていきましょう!
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